ROCK5Bの電源に関する詳細情報をまとめたページです。
ROCK5Bの電源回路は、高性能な電源ICを惜しみなく使い、業務用途でも長期間安定して稼働できるように設計されています。
目次
電源の仕様
電源の入力端子
ROCK5Bは、USB Type-Cポートだけでなく、GPIO(2pinと4pin+GND)への5V供給でも起動可能です。
入力電圧
ROCK5BのUSB Type-Cポートへの入力電圧範囲は5V〜20Vです。
GPIOの入力電圧は5Vのみです。
USB Power Delivery
ROCK5Bは、USB PD2.0(9V/2A, 12V/2A, 15V/2A, 20V/2A)に対応しています。
ただし一部のUSB電源アダプターでは起動できない相性問題があります。
電源アダプター/microSDカードの相性問題
一部のUSB電源アダプターではROCK5Bが起動できない相性問題があります。
正常に起動せず、勝手に再起動を繰り返すループにハマる挙動が典型例です。
一部の電源アダプターでは、出力電圧を設定するUSB PDのネゴシエーションでタイムアウトが発生すると、一度電源がオフになってしまうことが原因です。
いちばん手っ取り早い解決策は、電源アダプターを交換することです。USB PDのネゴシエーションでタイムアウトが発生しても、電源供給を維持したまま、再度、ネゴシエーションする挙動の電源アダプターであれば、この問題は発生しません。
あるいは、USBトリガーやUSBデコイと呼ばれるアダプターを使い、ROCK5Bと電源アダプターのネゴシエーションをスキップする方法もあります。
また、タイムアウトが発生する原因としてmicroSDカードも影響しています。読み書きが早い
microSDカードやeMMC、NVMe SSDに交換すると解消する場合もあります。
参考:Rock5/5b/power supply – Radxa Wiki
PoE(Power over Ethernet)
ROCK5BはPoE(48V)にも対応しています。
イーサネットポートに供給された電源は基板上の4ピン端子にバイパスされます。
別途、PoE HAT等を使って5Vに降圧し、GPIO端子に電源供給してください。
消費電力
ROCK5B用電源アダプターは、M.2 SSDを装着しない場合は24W以上、M.2 SSDを装着する場合は30W以上が推奨です。
電源回路
ROCK5Bは回路図が参考情報として公開されています。
回路図Rev1.423によると、ROCK5Bの電源回路はMP8759とRK806-1がキーパーツとなっています。
特徴
最大の特徴は、高性能な降圧IC「MP8759」を2段構成で使い、USBポートやGPIOに供給する5V系と、PMICに供給する4V系を切り分けていることです。
その結果、負荷変動の影響を受けづらく、安定した動作が期待できます。たとえば消費電力が大きいUSBデバイスを使うと、WiFiが切れてしまうといった従来のSBCで不具合が起きやすい状況でも、ROCK5Bなら粘れるかもしれません。
MP8759
MP8759は米Monolithic Power Systems社(MPS)の降圧ICです。
MP8759は4.5V〜26Vの広い入力電圧範囲に対応し、常時8A出力が可能な高性能チップです。
ROCK5Bでは、USB Type-Cから入力された5V〜20VをMP8759で5V系(5.148V)に変換しています。
MP8759から出力された5V系電源はUSBポートやGPIO端子に供給されます。
そして、ROCK5Bは贅沢にもMP8759をもう1つ使い、5V系から4V系(4.039V)に変換してからRK806-1に電源を供給しています。
参考:MP8759 | MPS
RK806-1
RK806-1はRockchip社のPMICです。最新の8nmプロセスで製造された高性能SoC「RK3588」が要求する低電圧・大電流の電源ラインを供給します。
RK806-1の入力電圧範囲は3V〜5.5Vです。つまり5V系を直接供給することもできますが、SBCの5V系はUSBポートやGPIOにも供給され、負荷変動による一時的な電圧降下が起きやすいため、あえて4Vを供給していると思われます。